「自分の幸せは、自分で掴むものです。誰かがいないと、成り立たないものではないんです」
第52回メフィスト賞を受賞した作家、宮西真冬さんの『友達未遂』読みました!
1.作品紹介
2.どんな人にオススメ?
3.特徴的な点
4.まとめ
1.作品紹介
「これでみんな共犯者ね」。少女たちは傷つき、悩み、自分たちの道を選び取る。全寮制女子高である星華高等学校は、街から離れた山奥にあり、規律に厳しいことで有名だった。さらに同校には「マザー制度」というものがある。新入生を「チャイルド」、3年生を「マザー」といって寝食を共にしつつルールやマナーを教えるというものだ。伝統と格式のある学園の寮で、不審な事件が次々と起きルームメイト4人が巻き込まれていく。
――書評家 大矢博子氏「すべての世代に薦めたい一冊だ」
四人が悩みを分かち合い助け合うというような、安易な展開ではない。彼女たちは友達ですらない、ただのルームメイトだ。だがそのルームメイトがわずかな綻びや変化を見たとき、彼女たちがそれぞれどんな行動に出たか、どうかじっくり確かめてほしい。自分のことで手一杯だった少女が、きっかけはどうであれ、動機は何であれ、他者に目を向ける――それは「自分だけの世界」から「他者と関わる世界」への転換点なのである。
――書評家 村上貴史氏「ひりひりとした緊張感に支配された物語」
いや素晴らしい。
とにかく素晴らしい。
そう手放しで褒め称えたくなるほどに、『友達未遂』は素晴らしい。
〈ストーリー〉
創立130年の全寮制年女子高である星華高等学校は、街から離れた山奥にあり規律に厳しいことで地元では有名だった。さらに同校には特徴的な「マザー制度」というものがある。3年生を「マザー」、新入生を「チャイルド」といって寝食を共にしつつルールやマナーを教えるというものだ。入学式の3週間前早々に同校にやってきた一之瀬茜は、家庭に居場所がなかった。一人で生きていくことを誓っていた茜はしかし、マザーである緑川桜子にかわいがられ、とまどう。そんな茜の周りである日不審な事件が起きた。茜と桜子、ルームメイトの真琴と千尋の4人は事件をきっかけに自分たちの運命と向き合うことになって・・・・・・。
引用元:https://www.bookbang.jp/book/isbn/9784065139653
2.どんな人にオススメ?
物語自体は単純に面白いし、内容や展開も奇をてらったものではないため、ぶっちゃけ言うと万人にオススメできます!
が、これではあまりにも芸がないため、あえて絞り込むとすれば、「自己肯定感が低い人、優しい人、女性」でしょうか。
理由は、主人公の4人それぞれが苦悩し、そしてそれは優しさからくるものだからです。
また、登場人物も女性がほとんどですし、事件や問題も女性の方が感情移入できるのではないかなと。
まあ、男性なら男性で「え?こんなことあんの?」みたいな目線で読めるからそれはそれでいいのかもしれませんが。
とはいえ、最初に言った通りどんな人にもオススメです!
それほどに純粋にストーリーが面白いです!
3.特徴的な点
・それぞれ別方向にぶっとんだ4人の主人公
主人公の4人が非常に魅力的です。
ただ、それぞれがあまりにも悲しすぎる。
それは家族関係であったり、復讐心であったり、育った環境であったり、母との確執であったり...
それぞれ複雑な理由から、普通とは言えないような精神状態、行動を起こしてしまいます。
そんな彼女らの成長を見届けられた時、自分自身の中にも変化が訪れていることでしょう!
様々な理由から苦悩する4人がこの作品の魅力の大部分を占めると言っても過言ではないです!
「キャラクターが面白ければ、ストーリーも勝手に面白くなる」とジョジョの作者の荒木飛呂彦大先生が言っていたことを思い出しました!
・物語の展開が速く飽きにくい
この小説は、主人公4人の視点が交代しながら進んでいきます。
また、全編284ページなので単純計算すると、1人当たり71ページずつということになります。
この71ページの中でそれぞれ山場を作っていかなければならないので、おのずと展開が速くなります。
その展開の速さ故にだらっとせず飽きません。
冒頭に書いた、「本にかぶりつくように読んだ」というのはこの理由から来ているように思いますね!
・絶望8割希望2割のストーリー
基本的に暗い時間の方が長いです。
しかし、それが故に希望の時間のカタルシスたるや。
読み返すと明らかに絶望の方が多いのに、この本を思い返した時のイメージは非常にポジティブなストーリーとして残ると思います。
それだけ希望の部分の見せ方が上手いということなのでしょうね!
4.まとめ
今回は『友達未遂』について紹介してきました。
滅茶苦茶面白いのは確かなのに、言語化して説明するのは難しい。
そんな心に直接訴えかけてくるような小説でした。
「とにかく読め!」
そんなことを久しぶりに言いたくなるような素晴らしい名作だと感じました!
気になった方は是非読んでみて下さい!