あなたは周りをアッと驚かせるようなアイデアを生み出したいと思いますか?
「アイデアを生む力」というのは、成功を勝ち取るために最も必要な能力であるといえます。
この能力をたった1時間で手に入れられるとしたら、あなたはそのために1時間を使いますか?
この甘言で僕たちを引き寄せ、そして満足させる本が、
ジェームス・W・ヤング著 『アイデアのつくり方』
です。
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なぜ、1時間足らずで「アイデアを生む力」を獲得することができるのでしょうか?
それは全てのアイデアが生まれる「たった一つの原理」を 解説してくれているからです。
どの分野のどのアイデアを生み出す際にも、この原理を知っていれば応用することが出来ます。
なので、その「たった一つの原理」を知るための1時間だけでいいというわけです。
ということで今回は、「新しいアイデアが生まれるたった一つの原理」と、それを実際に行うための具体的な手順について解説していきます!
所々表現を変えていたり、省いている所もあるので、原文が気になる方は是非買って読んでみて下さい!
新しいアイデアは既存の要素と既存の要素を合わせることで生まれる
新しいアイデアを思いつこうとする時、多くの人は0から1を生み出そうとします。
何がこの世にまだないのか?
今、必要とされる斬新なアイデアは何かないか?
このように頭の中で必死に探します。
しかし、このやり方では革新的なアイデアが生まれることはないでしょう。
これは、内容を全く知らないのに、読書感想文を書こうとするような行為です。
今現在、どのようなものがあるかを知らないまま、新しいものを生み出すことはできません。
なぜなら、
新しいアイデアとは「既存の要素の新しい組み合わせ」
だからです。
これはアイデア作成における最も大切な事実です。
これを体現できるかどうかは、一つの事実を断片的な知識と捉えるのではなく、鎖の環のように繋がっているという考え方が出来るかどうかにかかっています。
この考え方は訓練することで体得できるものであり、その訓練の最も効率的な方法は社会科学の勉強をすることです。
そのための本として、著者のヤングはソースティン・ヴェブレン著の『有閑階級の理論』とデイヴィッド・リースマン著の『孤独な群衆』をオススメしています。
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新しいアイデアを作る実際的な手順
新しいア
イデアが生まれる原理は解説しましたが、本当に欲しいのはその具体的な方法ですよね。
数学の定理を覚えたところで、実際に式にどう当てはめていくかを知らなければ、答えを導き出すのは難しいことです。
ということで、実際に新しいア
イデアを作り出す手順について解説していきます。
始めに言っておくと、その手順は5つの工程を踏みます。
その5つの工程とは、
1.資料の収集
2.資料の消化
3.問題の放棄
です。
1.資料の収集
上にも書いた通り、新しいア
イデアは既存の要素の組み合わせです。
ということは、必然的に既存の要素を調べなければいけません。
実はこの段階でほとんどの人が脱落してしまいます。
調べる量が足りなかったり、めんどくさいという理由で、ごまかそうとしてしまうのです。
しかし、この作業はそう生易しいものではありません。
集めてこなければいけない資料は2つあります。
1つは「特殊資料」と呼ばれるものです。
これは自分の売りたい製品と消費者についての資料です。
自分の興味のあるものの市場、流行りと言い換えてもいいかもしれません。
これが意外と難しく、製品とその製品と関連のある人々についての真の知識には中々近づけないのです。
この『ア
イデアのつくり方』は、真の知識を得る過程の難しさを語るために、フランスの作家であるギ・ド・
モーパッサンが、小説を書く勉強法として先輩の作家から勧められたプロセスを説明しています。
<パリの街頭に出かけてゆきまたえ>と
モーパッサンはその作家から教えられた。
<そして一人のタクシーの運転手をつかまえることだ。その男には他のどの運転手ともちがったところなどないように君にはみえる。しかし君の描写によって、この男がこの世界中の他のどの運転手ともちがった一人の独自の人物にみえるようになるまで、君はこの男を研究しなければならない。>
これほどまで深く掘り下げていくと大抵の場合、全ての製品とある種の消費者との間に、アイデアを生むかもしれない関係の特殊性が見つかるものなのです。
そして、集めるべきもう一つの資料は「一般的資料」です。
一般的資料とは、人生とこの世の様々な出来事についての資料です。
「いや、範囲ひろっ!!!」
と思われたかもしれません。
もちろん、この世のあらゆることを知り尽くすなど不可能なことです。
しかし、
優れたアイデアを出すことのできる人間はみんなきまって、この世界の多くの物事についての様々な知識を持っています。
それが可能なのは知的好奇心が人一倍強く、多種多様な方面への興味があるからに他なりません。
そして、
新しいアイデアとは、この狭い範囲のデータである「特殊資料」と、広範囲のデータである「一般的資料」との新しい組み合わせによって生まれるものなのです。
つまり、前者は当面の仕事、後者は一生涯に渡る仕事ということになります。
「一般的資料」を集めるという作業は途方もなく感じますが、逆に言えば無駄な知識などないという安心感を与えてもくれますね。
2.資料の消化
上の第一段階をクリアした後の次の段階は、集めた資料を自分の中に消化、吸収する作業です。
一つのデータを違う角度から見たり、2つのデータを照らし合わせてみたり、集めたデータをとにかく、自分の中でああだこうだと探ってみるのです。
これは、バラバラのデータをパズルのように組み合わせてまとめる工程で、この工程の途中で二つのことが起こります。
1つは頭の中で、部分的なアイデアがぽつぽつと湧き出ることです。
この際、どんなにとっぴで実現できなさそうなことでも、紙に書いてメモしておくことをオススメします。
なぜならこれは、これから生まれてくる本当のア
イデアの前兆であり、それらを言葉に書き表しておくことによって、ア
イデアの作成過程が前進するからです。
そして、もう1つはこのアイデアのパズルを組み立てる工程に疲れてくることです。
これにあらがって、できるだけ粘るようにしてください。
頑張ってあがいた分だけ、その後に訪れるアイデアの完成度が高くなります!
ところが、そうした時間を過ごすと、やがて絶望状態に陥ることになります。
何もかもがあなたの心の中でぐちゃぐちゃになって、なにもはっきりとしたものは見えてきません。
しかし、これは全然悲しむことではありません。
このパズルを組み立てる努力をした結果、迷宮に迷い込んでしまったということが、第2段階を完了し次のステップへ移る合図です。
3.問題の放棄
あなたは必死に新しいア
イデアを思いつく努力をしました。
しかし、それは実を結ばず、逆に何が何だか分からない状態に陥ってしまいました。
この状態で何ができるというのでしょうか?
これ以上何をしろというのでしょうか?
その答えは、これまで考えてきたことの一切を考えないようにすることです。
この段階で行われることは、問題を無意識の心に移し、あなたが眠っている間にそれが勝手に働くのに任せるということです。
この段階はこれまでとは逆に、自分が直接的にできる努力というものがほとんどありません。
唯一出来ることは、「自分の好きなことをする」ということです。
映画を観る、音楽を聴く、小説を読む、歌を歌う...。
これらのように、自分の想像力や感情を刺激するようなものにどっぷりと浸かることです。
「え!?そんな遊んでいいの?」
と思われるかもしれません。
しかし、これでいいのです。
無意識の自分を信じて、問題を預けてしまいましょう。
これまでの3つの段階をしっかりとやり遂げたなら、この第4段階は必ず訪れます。
それは、あなたが一切意識していない時に来ます。
公園を散歩している時、目が覚めた時、歯磨きをしている時など、あなたが「アイデアを生み出そうとすること」を全く考えていない時に、アイデアは舞い降りてきます。
よく、アーティストが曲を作る際、
「ふっと降りてきたんですよ。神からのお告げが聞こえたように」
というような旨の発言をしますよね。
これはちょうど、この第4段階のア
イデアの発露を感じたということなのです。
新しい曲を作る努力をした人が、無意識の内に曲を練り込み、完全に心がリラックスした無防備な状態のときに、曲のイメージがおりてきたということです。
もしかしたらあなたも、これまでの人生において
「まるで天の声が聞こえたようにフッと答
えがおりてきた」
というような経験をしたことがあるかもしれません。
それこそがこの段階で行われることです。
これまでにない斬新なアイデアを生み出すためには、心をリラックスさせる必要があるのです。
最後の工程は、生まれたア
イデアは世に出すことです。
実は、多くの良いアイデアがこの段階まで来たにも関わらず、陽の目の見ずに失われていくのです。
それは、思いついた本人が結局、胸の内にしまい込んでしまったり、批判を恐れて思わず尻込みしてしまうからです。
なので、この段階まで来た人に伝えたいことは、
ということです。
生まれたばかりのアイデアというのは大抵の場合、期待通りの結果をもたらしてくれません。
なので、そのア
イデアを実際に力を発揮できるところまで、忍耐強く修正を加えていく作業が必要になるのです。
そのためにすべきことは、
「理解ある人々に批判をもらう」
ということです。
良いア
イデアは見た人を刺激するので、その人たちがあれやこれやと、自分の気づかなかった意見を出してくれます。
と書いたのは、こういうことです。
自分で生み出したアイデアが、ひとりでに動き出し、多くの意見を汲み取って今までよりも良いアイデアに成長していくのです。
なので批判を恐れず、むしろ協力してくれているという心持ちで、理解ある人の助言を受け取ってください。
まとめ
ということで今回は、ア
イデアとは「既存の要素の組み合わせである」ということと、それを実際に手に入れるための手順について解説していきました。
1.範囲の狭い「特殊資料」と範囲の広い「一般的資料」を集める
2.集めた資料を吟味する
3.一時的に問題を置いておく
この5段階が新しいア
イデアを生み出すための全てです。
この能力は訓練することで身につくものなので、あなたも試してみて下さい!
著者のヤングが、ア
イデア作成過程の理解を深めるために役立つ、とオススメしている本
H・ポワンカレ著 『科学と方法』
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