読んでてめっっっっっっちゃ息苦しかった
率直な感情がそれですね(笑)
・・・なにが?
っていうとこれです。
久々に読んでて心が苦しくなりましたね...。
「じゃあこれはそんなにひどい作品なのか?」というと、そんなことはありません!
いや、ある意味ひどい作品かもしれませんが(笑)
僕の嗜好として、ハッピーエンドにしろ、バッドエンドにしろ、心にくるものというか、思い出に残るような作品を好きになるんですよね。
例えば、昔、友達と『グリーンインフェルノ』というR18+のもの凄くグロい映画を見たんですが、友達は「こんなグロいの観れない。」と途中で引いていました。
僕の場合は、友達と同じくめっちゃグロいなあと思いながらも、「こんなにグロテスクな映画は他にないから逆に観て良かった。」と思ったんですね。
こんな考え方です。
同じような方もいると思います。
その意味で言うと、僕はこの作品に出会って本当に良かったと思いますね。
ということで、今回はこの『送り火』という作品を紹介します!
万人にオススメして、「思ってたものと違った」と思われるのも嫌なので先に言いますが、中々にハードな作品です。
読んでスッキリとした気持ちになりたいという方にはオススメできませんね。
この作品は、怖いものや、心にくるもの、変わったものが好きだという方にオススメです!
目次
1.あらすじ
2.オススメするポイント
3.まとめ
1.あらすじ
春休み、東京から山間の町に引っ越した中学3年生の少年・歩。
新しい中学校は、クラスの人数も少なく、来年には統合されてしまうのだ。
クラスの中心にいる晃は、花札を使って物事を決め、いつも負けてみんなのコーラを買ってくるのは稔の役割だ。転校を繰り返した歩は、この土地でも、場所に馴染み、学級に溶け込み、小さな集団に属することができた、と信じていた。
夏休み、歩は家族でねぶた祭りを見に行った。晃からは、河へ火を流す地元の習わしにも誘われる。
「河へ火を流す、急流の中を、集落の若衆が三艘の葦船を引いていく。葦船の帆柱には、火が灯されている」
しかし、晃との約束の場所にいたのは、数人のクラスメートと、見知らぬ作業着の男だった。やがて始まる、上級生からの伝統といういじめの遊戯。
歩にはもう、目の前の光景が暴力にも見えない。黄色い眩暈の中で、ただよく分からない人間たちが蠢き、よく分からない遊戯に熱狂し、辺りが血液で汚れていく。
豊かな自然の中で、すくすくと成長していくはずだった
少年たちは、暴力の果てに何を見たのか――
引用元:『送り火』高橋弘希 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
2.オススメするポイント
・ラスト20ページが凄い
本当にコレですね!
作者の描写や、表現が綺麗ということも相まってもの凄く息苦しくなります。
1ページ1ページ読んでいくのがツラくなっていきます。
ただ、それが良さであり、僕が好きだと思った最大の要因でもあります。
僕の感性が70億分の1ということはないはずなので、同じように刺さる人もいるはずです!
・異様な怖さがある
この小説は、所謂怖い系の小説ではありません。
幽霊だったり、凶悪犯だったりは一切登場しません。
が、読んでいて変な恐ろしさを感じてしまう所がちょくちょくあります。
例えば、友達の遊びがかなり暴力的なんですが、それを当の本人たちは、おかしいことをしているとは一切思ってないんですよね。
そして、その恐ろしさのピークが最後の20ページにくるわけですが、もはやホラー小説と言っても過言ではないほどに怖いです。
あの場面は映像化すると、恐らく違う印象になるのでしょう。
この怖さは、想像がかきたてられる読み物ならではなのだろうと思います。
・文章の表現が豊か
この小説は、風の描写だったり、食べ物の描写だったりが本当に上手で、頭の中でその情景を鮮明に想像することが出来ます。
食べ物の描写に関しては、香りまで感じるような感覚を覚えました。
この作者の語彙力が豊富であるからこそできる技なのでしょうね!
あまりに沢山の語彙が出てくるので、何度も分からない熟語や漢字を調べてました(笑)
・読みやすい
もの凄くしょぼい表現になりますが、とても読みやすいです。
というのも、この小説は120ページほどしかなく、かつ4つの章に区切られています。
なので、普段小説を読まないという方もサクッと読めてしまうのではないかと思います!
僕の場合は、分からない漢字を調べながらでも3時間くらいで読めましたね。
3.まとめ
今回は『送り火』という小説を紹介しました。
個人的には、最近読んだ小説の中で最も苦しかった小説でした。
こんなに言うと、読むのをためらってしまうかもしれません。
ですが、そんな作品だからこそ特有の価値があるというもの。
興味があるなら是非読んでみることをオススメします!
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