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人間だけが可能な、ある「特別な能力」とは? この能力のおかげで人間はここまで発展できた!

 

 

現在、人間は昔と比べて圧倒的に進歩しました。

 

なぜ、これほど人間だけが急速に成長できたのでしょうか?

 

それは、唯一人間だけが有している「ある能力」があるからなのです!

 

ということで今回は、「人間の特別な能力」について解説していきます。

 

 

また、この記事はユヴァル・ノア・ハラリの著作『ホモ・デウス テクノロジーとサイエンスの未来』という本を参考に書いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

賢い馬

 

人間は食物連鎖の頂点に存在しています。

それに異論をはさむ人はいないでしょう。

 

だからといって人間があらゆる面で他の生物より優れているわけではありません。

これも異論はないですね。

 

ライオンには力や走るスピードで劣っていますし、象にはサイズや筋肉量などで負けています。

 

ということであれば、人間はこれらの動物には単純な力では負けているけれども、頭の良さでは勝っているから支配できているのでしょうか?

 

つまり、力やスピードなど肉体的な、言い換えれば直接的な能力ではなく、賢さや器用さなどの、内面的な能力が優れているからであると。

 

実はそんなことはありません。

内面的な能力においても、人間を上回っている動物もいるのです。

 

 

20世紀の初頭、「賢いハンス」と呼ばれる馬がドイツで有名になりました。

 

ハンスはドイツの町や村を巡りながら、ドイツ語の驚くべき理解力と素晴らしい数学の能力を披露してみせました。

 

「ハンス、4×3はいくつ?」

と訊かれると、ハンスは足で地面を12回踏み鳴らしたのです。

 

サーカスの支配人や獣医はこれはペテンに違いないと思い、飼い主から引き離し、見ず知らずの人に質問させました。

 

しかし、ハンスは見ず知らずの人の質問にも、ほとんど正確に答えたのでした。

 

 

この、計算が出来る馬というのは、確かに僕たちを驚かせますが、それでも計算は「4×3」や「20-11」などの簡単なものです。

とても人間より優れているとは言えません。

 

ハンスの本当に凄い所は「計算の答えの導き方」なのです。

 

1907年、心理学者のオスカル・プフングストが調査を始め、そして真実を導き出しました。

 

なんと、ハンスは質問者のボディランゲージや表情を注意深く観察して、正しい答えを導き出していたのです。

 

4×3はいくつかと訊かれたとき、ハンスは計算の仕方を知りませんでした。

 

その代わり、質問者が足を特定の回数だけ踏むことを期待していることを、過去の経験から知っていました。

 

そこでハンスは、足で地面を叩き始め、質問者の様子を一心に見る。

 

叩く回数が正解に近づくにつれて質問者はしだいに緊張し、ハンスがその数に達する瞬間、その緊張が頂点に達します。

 

ハンスはそれを、その人の姿勢や表情から読み取り、そこで地面を踏む足を止めるのです。

 

こうして、ハンスは答えを導き出していたのでした。

 

 

計算ができる賢い馬「ハンス」は、計算の能力に関しては人間の子供並みでしたが、感情や行動の意図を汲み取ることに関しては、真の天才だったのです。

 

僕たち人間はこれほどまでに、他の生物の感情を汲み取ることはできません。

仲の良い間柄ならともかく、初対面の人の感情まで正確に推し量るのですから。

 

 

 

人間の特筆すべき能力は多くの人と協力できること

 

では、なぜ馬など非常に賢い生物もいるにも関わらず、それを差し置いて人間は食物連鎖の頂点に立てたのでしょうか?

 

 

それは、人間が地球上で唯一、多くの仲間と柔軟に協力できる生物だからです。

 

 

例えば、ハチは高度に協力することが可能ですが、社会体制を一夜でガラッと変えるほどの柔軟性はありません。

 

他にもゾウやチンパンジーなどの社会的な哺乳類は、ハチよりもずっと柔軟に協力が出来ますが、それは少数の仲の良い間柄ででしかできません。

 

それに比べて人間は、ハチよりもっと多くの仲間たちと共に、ゾウやチンパンジーのように柔軟に協力ができます。

 

 

知能が高いことや、手先が器用で道具を作ることができるということも大きな理由の一つです。

 

しかし、もし人間が大勢で柔軟する能力がなければ、僕たちは依然として過去の原始人のように、石斧や石槍を作って、少数の仲間たちと狩猟生活をしていたことでしょう。

 

 

 

歴史上の勝者は相手より協力が上手だった側である

 

人間が他の生物を押しのけて地球の支配者になれた理由は、仲間と協力する能力が他の生物より異常に高かったから、と説明しました。

 

ですがこれは、人間内での出来事でも同じことが言えるのです。

 

1989年12月21日、ルーマニア共産主義独裁者ニコラエ・チャウシェスクは、首都ブカレストの中心部で大規模な政権支援集会を催しました。

 

この演説の最中、彼は革命を起こされ、共産主義国ルーマニアは脆く崩れ去ったのです。

 

なんと、この光景はyoutubeで見ることが出来ます。

 

https://www.youtube.com/watch?v=tUKCckRQDK8 

 

 

 

しかし、真に驚くべきことは、2000万人のルーマニア国民に過酷な環境を強いたこの独裁政権が、40年間も続いたことです。

 

なぜ2000万人もいるルーマニア国民が、それよりも遥かに少ない人数しかいないチャウシェスク一派に長い間従ってきたのでしょうか?

 

それには、3つの理由があります。

 

 

第1に、チャウシェスク一派は、軍や職種別組合、さらにはスポーツ協会まで、あらゆる協力ネットワークを忠実な共産党員に管理させたこと。

 

第2に、反共産主義の協力の基盤となりかねない競合組織は、どんなものであれ、創立させなかったこと。

 

そして第3に、ソ連や東ヨーロッパの同じ共産党の支援に依存していたことです。

 

 

つまり、自分は効率よく協力できるネットワークを築いたのに対し、それ以外の人には一切、協力できるグループを作らせなかったのです。

 

この3つの条件がうまく機能し、この独裁政権は40年間も維持することができました。

 

 

 

ちなみに、この際に滑り落ちた権力は、一般大衆には渡りませんでした。

 

彼らは熱狂的で行動的でしたが、自分たちを組織する方法を知らなかったのです。

 

結局、その権力はしっかりした組織を持っているという理由だけの政党関係者の一団に流れたのでした。

 

 

つまり、生物間だけではなく人間間でも、いかに上手に仲間と協力できるかが、勝者と敗者を分ける大きなポイントになるのです。

 

 

 

まとめ

 

ということで今回は、「人間の特別な能力」について解説していきました。

 

どんなに強くとも1人の力では限界があります。

そして、どんなに数がいても協力できなければ、「1人」が何人もいるだけです。

 

困難に打ち勝つためには、他の人の協力を得ることが大切なのです。

 

 

 

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