・危ない目にあってほしくない
・立派な人間になってほしい
・協調性のある子に育ってほしい
多くのお父さんお母さんはそう思っていることでしょうし、そうなるように育児していることでしょう。
それ自体は当然素晴らしいことです。
しかし同時に、子どもの可能性を奪う言葉を知らず知らずのうちにかけている可能性があります。
決して親側にそんな意図はなくても。
ということで今回は子どもには言わない方がいい言葉と、育児のバランスの取り方を紹介していきます!
また、この記事は出口保行さんの著作『犯罪心理学者が教える子どもを呪う言葉・救う言葉』を作成しています。
興味がある方は是非読んでみてください!
1.「皆と仲良く」を強調すると自分で考える力がなくなる
皆と仲良くできると友達や仲間が出来やすいし、敵も作りにくくなるので協調性が高いのは良いことだと考えている人がとても多いです。
そしてそれは確かに正しいことですし、その考え自体は何も悪くありません。
ただそれが行き過ぎると他人との衝突を避けるあまり、「個性を抑えろ」というメッセージに変換される危険性があります。
特に危ないのが子どもが「〇〇をしたい」と提案してきたときに「それは〇〇くんや〇〇ちゃんに迷惑がかかるかもしれないからダメだ」と言ってしまうことで、それが繰り返されると周囲の顔色を窺うようになっていきます。
そうして育った子は人に合わせることは得意でも、物事を批判的に見ることができないため、善悪の判断がつきづらくなったり、ストレスをため込むことが多くなってしまいます。
なので子どもの提案を拒否する場合には頭ごなしに否定するのではなく、「なぜダメなのか」「ならどうすればいいのか」を考えようというスタンスで話を聞くことが大切です。
そうすれば子どもは「今回はダメだったけど意見を持つこと自体は悪いことじゃないな」と思えるハズです!
2.「頑張って」がやる気をなくす
この「頑張って」という言葉も近年よく問題視されるようになりました。
もちろん言う側は相手を励ますつもりや応援するつもりで言っていると思いますし、この言葉自体はポジティブなものです。
しかし受け手に嫌味や「今の自分は頑張っていないんだ...」と思わせてしまう可能性があります。
特に危ないのが子どもが頑張っていることに対して「これぐらいで満足するな!」「もっと上を目指して頑張れ!」と言ってしまうことです。
親としては勝って兜の緒を締めよということを伝えたかったのかもしれませんが、子どもは自分の努力が実を結ばなかったのかと思ってしまいます。
そしてそれがひどくなると、自分が何をしてもどうせ何も変わらないと考えてしまい、何も行動できなくなる「学習性無力感」に陥ってしまう危険性があります。
どうでしょう?
あなたの周りにもそのような状態になっている人が思い当たりませんか?
なので「頑張って」という言葉をかける場合には、プロセスも褒めてあげてください。
「頑張って」ではなく「よく頑張っているね」と言ってあげるのです。
すると子どもは努力自体は認められていると思い、「次はもっと頑張ろう!」と思えるのです。
大切なことは自分がどんな言葉を使うかということだけでなく、子どもがその言葉をどう受け止めるかに配慮することです。
親としては正論を言って「いいことを言ってあげられたな」と思っていても、子どもは怒られて疎外感を感じているかもしれないのです。
3.「〇〇くん、〇〇ちゃんは...」が自己肯定感を失くす
これも先ほどの「頑張って」に近い感覚で言っている人も多いのではないでしょうか?
「〇〇ちゃんは書道コンクールで入賞したんだって」
「〇〇くんは中学校入学前なのに方程式の計算ができるんだって」
など、他の子と比べることで息子や娘の目標になったらいいなと考えての行動というわけです。
しかし子どもからしたら常に他人と比べられ、しかも自分よりも優れた点についてだけ言われるので、「自分は〇〇より劣っている。だからダメなんだ」と思い、自己肯定感が下がってしまいます。
日本人の自己肯定感の低さは以前から問題視されており、内閣府の調査では「自分自身に満足している」と感じている若者の比率は、欧米諸国では80%台なのに対して、日本は40%台です。
しかもこれは多感な思春期の時期から成長と共に下がりがちです。
13歳から25歳頃の青年期は「疾風怒濤の時代」と言われ、心身の急速な発達に伴い、不安や動揺も感じやすい時期です。
そんな元々他人の目が気になるような時期に、さらに他人と比較するような言葉を投げかけてしまうと「自分には価値がない」と思ってしまうのも当然のことでしょう。
なのでそのような言葉を言う場合は、「あなたが元気でいてくれるだけで嬉しい」「そのままのあなたを大切に思っているよ」と、能力関係なく子どもを認めているという旨の言葉もかけてあげましょう。
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定できる感覚のことです。
それは他者との比較ではなく、自分の存在そのものに価値があると認め尊重することで高まるのです。
4.4種類の型のバランスを意識する
ここまで3つの危険な言葉について紹介してきました。
すると当然「じゃあどんな言葉が正解なの?」と思うことでしょう。
しかしその答えは「無い」です。
正確に言えば「状況によって変わります」。
どんな言葉でも使う状況によって毒にも薬にもなりうるのです。
大切なことはそのバランスが偏らないようにすることです。
アメリカの心理学者サイモンズは子どもに影響を与える親の教育態度について「支配」「服従」「保護」「拒否」の4つのタイプに分類しており、それぞれ解説すると
支配
子どもに命令したり、強制したりする態度。
従順に育つが、自発的な行動が少なく、親の顔色を窺うようになる。
服従
親が子どもの顔色を窺うように接し、子どものいいなりになるような教育態度。
人に従わず、乱暴で落ち着きがない性格に育ちやすい。
保護
子どもを必要以上に保護しようとする教育態度。
慎重に育つ一方で、親のいないところでは好奇心をみせる。
穏やかな性格だが、身を守る術を身につけていない。
拒否
子どもを無視したり、拒否するような冷たい教育態度。
神経質で落ち着きがなく、周囲の気を引くために反社会的な態度をとることもある。
の4つです。
それぞれ「支配」と「服従」は相反する関係となっていて、「保護」と「拒否」も同様です。
「支配」⇔「服従」
「保護」⇔「拒否」
という具合です。
そしてそこから
「支配」+「保護」 → 「過保護型」
「支配」+「拒否」 → 「高圧型」
「服従」+「保護」 → 「甘やかし型」
「服従」+「拒否」 → 「無関心型」
の4つの組み合わせに分かれます。
この4つのタイプのどこに自分が近いかを理解し、支配なら服従へ、保護なら拒否へと寄せてバランスが良くなるように意識してみましょう!
子どもは親の写し鏡とまでは言いませんが、親が与える影響力はとてつもないのですから。
何かあれば
までどうぞ!