2022年4月、内閣官房孤独・孤立対策担当室が行った全国の満16才以上の2万人を対象とした調査によると、36.4%の人が多かれ少なかれ孤独感を感じることがあると回答しています。
つまり日本人の約4割が孤独に苛まれているということです。
そして「孤独な人は早死のリスクが50%上昇する」「心疾患や心臓発作のリスクが3割増える」などの調査結果がどんどん報告されています。
それにそのような体の健康だけでなくメンタルにも悪影響があり、最悪の場合自死に繋がる場合もあります。
そんな結果を受けて世界各国では「孤独」はもはや病気のように治療するべきものとして扱われるようになってきています。
今回はそんな孤独について「そもそも孤独とは何なのか?」、そして「孤独を感じないための対策」について述べていきます!
また、この記事は池田清彦さんの著作『孤独という病』を元に作成しています。
もっと詳しく知りたい方は是非読んでみてください!
1.人間は孤独で死ぬことを証明した最悪の実験
フレデリック大王というドイツ・プロイセンの王様が行った、歴史上最も忌むべき実験と呼ばれるこんな実験があります。
フレデリック大王はいろいろなことに対して好奇心があり、「子どもは言葉を教えなくても勝手にしゃべれるようになるのか?」ということに興味がありました。
そこで彼は教会にいた身寄りのない赤ちゃんを50人集めてそれを実験したのです。
まず彼は赤ちゃんの世話係に「赤ちゃんに対して一切言葉をかけてはいけない」と命じました。
子守歌や微笑みかけることはもちろん、目を合わせることもです。
ただし食事やトイレの面倒、お風呂などの最低限の世話自体はしっかりとさせました。
つまり生きるのに必要なことはやって、唯一「コミュニケーション」だけを禁止したわけです。
では結果はどうなったのか?
ちゃんと言葉を話せるようになったのでしょうか?
しかし答えはそれどころではありませんでした。
なんと50人のうち49人が3歳までに亡くなり、最後の1人も6歳になったときに亡くなったのです。
これはつまり、生まれてすぐにコミュニケーションを遮断された孤独な状態に置かれると、外傷がなくても人間は死んでしまうことを示しました。
2.孤独を回避したから人類は生き延びれた
先ほどの実験で人間にとって孤独はいかに毒であるかを知ってもらえたと思いますが、そもそもなぜ人はここまで孤独に恐怖するのでしょうか?
答えはそうやって孤独を回避することで人類はここまで生き延びたからです。
狩猟や採集をして暮らしていた時の人類は孤独だと食料や周りの危険などの情報が少なくなり、生存確率が大幅に下がります。
また、困った時に助けてもらうこともできません。
群れに属して仲間と助け合いながら暮らし、協力して生き延びていく。
そして子供が生まれたら周囲の大人は面倒を見るだけじゃなく、愛情を持って育てていく。
そうして繋いできた命のバトンがあるからこそ現代人にも孤独を恐れ、回避しようとするプログラムがされているというわけです。
3.現代人にとって孤独=孤独感
では現代人、もしくはこれからの人類も、これまでと同様に孤独を恐れ仲間と群れて生きることが正解なのかというとそうとは言い切れないかもしれません。
なぜなら人類は孤独を回避することで生き延びたというのは、厳しい環境に置かれた時代の話だからです。
現代では一人でも仕事をしたり、ネットを通して買い物をして生きていくことができます。
そんな現代では今までのように生き延びるために孤独を恐れる必要はありません。
しかし先ほども述べたように過去の経験があるため、そのプログラムが不必要な恐れを誘発し、逆に苦しめられているのが今の時代というわけです。
また、満員電車の中で毎日揺られていても孤独感に苛まれたり、反対に一日中家にいるのに楽しそうに趣味や仕事に熱中している人もいるように、人間にとって孤独とは「自分が孤独感を抱いているかどうか」という主観的な判断によるところが大きいです。
つまり現代人にとっては実際に孤独な状況にあるかどうかよりも、主観的な孤独感を感じるかどうかが、「孤独かそうじゃないか」を分けるポイントになっているのです。
4.孤独感を感じないための3つのポイント
ということでここからはその孤独感を感じないようにするための方法を紹介していきますが、まず初めに言っておくこととして「孤独感を感じやすい人」に向けたポイントだということです。
今の時代、
「みんなといるより一人の方が気楽」
「一人だと自分のやりたいことに没頭できるからそっちの方が好き」
と考える「孤独を愛する人」「孤独に強い人」も徐々に増えてきています。
もしあなたがそういう「孤独に強い人」だった場合はこのポイントは無視してもらって大丈夫です。
そのままあなたの道を突き進めばいいでしょう!
ただ大半の人はそうではないので、多くの方はこの3つのポイントを実践することで孤独を感じにくくなるハズです!
他人と比べない
よく言われることですが「他人と比べない」ことはかなり大切です。
現代ではSNSなどを通して自分よりも優秀な人や楽しそうな人生を送っている人を見る機会がかなり増えました。
そしてそんな人たちを見て劣等感を抱いたり、自分がみじめに思えてきたりして落ち込む人も多いです。
しかし自分の立場を他人と比べれば比べるほど自分のポジションが気になって、孤独を感じやすくなってしまいます。
そんな自意識に集中するよりも、気の知れた家族や友達とご飯を食べたりする方がよっぽど孤独対策になることでしょう!
読書をする
実は本を読むということでも孤独はかなり癒されます。
読書をすると、そこに描かれている情景を思い浮かべたり、内容について考えることになりますが、これはその本の作者との対話をしているということです。
このような自分以外の人の考えを取り入れ、脳に刺激を与えることは孤独対策になります。
実際に読書が趣味の人は孤独を感じにくい傾向にあるようです。
「人生の意味」という妄想から抜け出す
「社会の役に立ちたい」
「自分は何かを歴史に残す」
など、目指すべき目標を掲げるのは原動力にもなりますし、素晴らしいことです。
しかしそれが行き過ぎると
「自分は誰の役にも立っていないから生きている意味がない」
「自分は何もできない人間なんだ」
と思ってしまい、自分が世界から除け者にされたような感覚にもなりかねません。
しかし他の動物を見れば分かりますが、彼らは自分の生に意味を感じたりはしません。
ただ生を受けたから生きているのです。
そもそも生命とはそういうものなので、変に「なんのために生きるのか」など考えず、自分のしたいことや楽しいことに専念する。
それが究極の孤独対策になるのです!
何かあれば
までどうぞ!